今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所39】の解説です。
【急所39】 問題は、見えるようにした時点で八割解決する。(1)
見えるということはとても大切なことです。見えると分かります。分かればできます。この「見える→分かる→できる」のサイクルがうまく回ると改善がものすごくスムーズにスピーディに進みます。
ただここでいう「見える」が一筋縄でいかないのです。
私は若いころ、ある日本を代表する大会社のS会長から「柿内君、君はボルトが自然に緩む瞬間を見たことがあるかね?」と聞かれたことがありました。人がボルトを緩めるのはもちろん見たことはありますが、誰も触らないのにボルトが目の前で自然に緩むところなんか見えるわけがありません。質問の意味が分からず「ないですね~」などと情けない返事をしたのです。
するとS会長は続けて、「そうだろう。先日うちの会社の製品のボルトが使用中に緩んだというクレームがあって、技術者が喧々諤々(けんけんがくがく)の議論をしていたんだが、誰その瞬間を見ていないもんだから話がなかなか終わらなかったんだ。その瞬間を見ることができたら一瞬で答えが出るはずなんだけどね…。」とのことでした。
私たちの身の回りには結果のデータはあるけれどその過程を誰も見ていないということはたくさんあります。ただ想像でいろいろ話をしているのでは間違ったり、不必要に時間がかかったりするものです。不良発生のデータのほとんどは結果のデータです。誰も発生の瞬間を見ていません。そこに気付いて状況を見えるようにしただけで大きな問題が解決したという事例はたくさんあります。
技術の進歩で以前よりずっとモノは見えるようになっています。昔の8ミリ映写機の時代から考えると、スマホで簡単に撮影してすぐにプロジェクターで映写できる今の状況はものすごい進歩です。これ以外にも昔では不可能だったことが今は簡単にできるようになっていることがたくさんあります。
すぐに現場に行って見えていないモノを探して見えるようにしてください。
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改善の急所48 標準化とは?
「誰もが何万回でも繰り返し行えるようにすることを標準化という」併せて、ECRSについても解説いたしました。
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