今回はKZ法と在庫の関係についてお話しします。例えば自動車関連の工場に金属材料の在庫がいっぱいあったとします。かなり錆びているモノもあるので古くからずっと有るんだろうなあ…と思われます。
私はこのような状態を見るとかなり焦ります。理由はこれらの大量の在庫は以前に高いお金を払って買ったモノでしょうが、もしかするとこの先もずーっとここに置きっぱなしになるのではないかと思うからです。私はモノが余っている状態を見ると焦るのです。
しかし現場の方はもうこの景色に慣れてしまっているのか、特に焦った様子が見られません。それより今日の生産に使う材料がちゃんと有るかどうかが気になっているようです。現場の方はモノが無い状態を見ると焦るのです。でも無くても発注すればモノは来るのでそんなに大きな問題にはなりません。しかし有り余っている場合、それはすぐにはどうすることもできません。そして今日買った材料がまた余ってしまうのではないかと心配になります。
もし私が友人に今月返してもらう約束で先月10万円のお金を貸したとします。ところが今月になったのに彼がそのお金を返してくれません。私は彼が本当に返してくれるのかとても心配だし、とても困ります。気になって気になって昨晩はなかなか寝付けませんでした…。これはもちろん作り話ですが、このような気持ちは分かっていただけると思います。
現場の使われない在庫は、実はこの貸した私のお金と同じだと思いませんか? この材料を使っていい商品を作って売って利益を上げようと計画したのですが、いつまでたっても商品になりません。材料を買った時点で支払いを済ませているのですが、そのままでお金が帰って来ないのです。そしてその金額は10万円どころでなく何百万円!
KZ法ではこれらの在庫には、ひと月以内に使われないモノとしてカードが貼られます。そこで今まで慣れた景色に溶け込んでしまっていたこれらの大問題をみんなで顕在化して、現在の問題点とこれからの改善点を議論します。そして管理の仕方と購入の仕方を変えればいろいろないい変化が起きてきます。
「切れるより余る方が怖い!」これが私の実感です。
場所が空いてスカッとして、無駄な買いが減るのでキャッシュが貯まり始めます。これは経営に大きく貢献するのです。
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2023.01.24
【第291回】コンサルタントの改善日記 現場改善におけるサプライチェーンとはどういう事かについてお話させていただきました。
これからも様々な事が起こると思いますが、
改めてベーシックなところに立ち戻るということは非常に役立つと考えます。 -
2023.01.10
【第290回】コンサルタントの改善日記 「7つのムダ」について事例を交えながら解説させていただきました。
「7つのムダ」が頭の中にあれば、気付きが増え現場のカイゼンが進みます。
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2022.12.20
【第289回】コンサルタントの改善日記 モノの置き方と表示についてのお話をさせていただきました。
「品目表示」「所・番地表示」「次工程表示」「量表示」「管理担当者表示」
この5つの表示があると良いと私は考えます。 -
2022.12.06
【第288回】コンサルタントの改善日記 いただいたご質問に回答させていただきました。
「本や講演で文字情報以外に図やイラストをお使いになると思いますが、
どういった点を注意しておられますか。」
ご質問いただきありがとうございました。
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2022.11.29
【第288回】コンサルタントの改善日記 私の出版した書籍や動画をご覧いただき誠にありがとうございます。
「私も、本を出版したいのですが。」とコメントやご質問をいただく事が多いです。
専門書を出版したい方に私の経験をお伝えします。昔の話ではありますので、現在とは違うこともあるかと思います。
少しでも参考になれば幸いです。 -
2022.11.22
【第287回】コンサルタントの改善日記 「リードタイム」を簡単解説させていただきました。
見えている様で見えていない現象を記号化することで見えるようにする
「工程分析」という手法を使ってのカイゼンの話もしております。このような事を繰り返しながら日本の製造業を強くしていきましょう。