改善を通じて人が育つ

改善実行者が得るメリットとは

d04_img1.gifこれまでの2つの答えを通じて、なぜ改善を実行するのかについて、世の中の変化は止まらないからということと、最初から完璧なモノはないからという2つの理由をあげました。この2つの理由については納得していただけたと思います。しかしこれだけではどうもね、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。この2つの理由だけだと、何となく、「だからやらないわけにはいかない!」といった義務感みたいなニュアンスが強くて圧迫感を感じた方も多いのではないでしょうか。

しかしもちろんその2つだけではありません。実は改善を実行すると、会社が良くなるだけではなくて、そこに参加した人自身がとても大きなものを手に入れることができるのです。それは何かというと、改善を実行する過程で、他の方法ではとても手に入れることができない高いレベルの仕事の実力が付くのです。つまり改善は実行する本人にもとても良いことがあるということです。

会社に入ってから今までの間に、皆さんはいろいろなことを身に付けてこられました。最初は全くの素人として入社したわけですが、先輩たちから仕事のやり方を教わって鍛えられて、最初は難しかったそれらの仕事が今では楽々できてしまうレベルにまで到達しておられることでしょう。

ではここで1つ質問です。あなたはこの1年間で何を新しく学ばれましたか?1年前にはできなかったことが、今はできるようになったとすると、それは何ですか?

新入社員レベルですと、この質問に答えることは決して難しくありません。何も経験がない状態から始めていますから、新しいことをどんどん吸収して仕事の実力が付いてきますので、その差を考えれば答えるのは簡単でしょう。

ところがそれ以外の方にとっては、この質問にスパッと答えるのはけっこう難しいかもしれません。会社の仕事にある程度慣れてしまうと、その力を使ってかなりの仕事ができてしまいますし、また忙しいのでなかなか新しい分野の勉強もできなくなっていることが多いようです。だから場合によってはこの1年の間に自分がどれだけ実力を付けて進歩向上したかと考えるとちょっと不安になってしまうという方が多いのです。

では何か勉強をしよう!と考えても、今度は何を勉強すればいいのかが分からなくて困ってしまうという声も多く聞いています。もちろん本屋さんのビジネス書のコーナーに行けば、ためになる本はたくさん売っていますから、勉強しなければいけないことはいくらでもあることは間違いありません。しかしそれが今の仕事にすぐ役立つかというと、なかなかそうはいかないということが多いのではないでしょうか。学校じゃあるまいし、今さら勉強しろっていわれても....、といった声も聞こえます。その気持ちは良く分かります。

ところがここに1つの良い勉強のしかたがあるのです。それは何かというと「現場改善を実行すること」なのです。

現場改善を通して社会人勉強

なぜ現場改善を実行することが勉強になるのか?!その理由をご説明します。

現場改善をするための第一歩は、何を改善するのかのテーマを選ぶことですね。皆さんの仕事の中には達成しなければならないテーマが既にたくさんあるのではないでしょうか。

売価が下がり続ける中で利益を確保するためにはコストを下げる必要があります。では工場の中でコストを下げようとするとどんなことが考えられますか?私は工場でよくこの質問をするのですが、返ってくる答えで最も多いのが次の2つです。

  1. 作業能率を上げる
  2. 購入品のコストを下げる

では質問です。なぜ作業能率が上がるとコストが下がるのですか?

作業能率が上がった結果、仕事が早く終了するようになり、残業する必要が無くなったので定時で仕事を終えたとか、手が空いた時間を活用して、これまで外の会社に頼んでいた仕事を自分達でやることにした、ということであればコストは下がります。しかし能率が上がったけれどそこで空いた時間をどう使うかが不明確なままであればコストは下がりません。

同様に1個だと100円の購入品を100個まとめて買うと1個が80円になるというので100個買ったとした場合、もし100個すべてが生産に使われて、すべてが売れれば明らかに製品1個当たり20円のコストダウンです。しかし実際には50個しか売れなかったとしたら、80円で100個買ったことで8000円払い、売れた量が50個ですから8000円÷50個=160円/個となり、かえって割高になってしまいます。このようにコストダウンであるといつも言われているテーマであっても、きちんと説明しようとするとけっこう難しいものなのです。

もし説明できないレベルで活動を行うと、せっかくやってもその努力に値する成果が出なかったり、あるいは逆に損が出てしまったりすることすらあります。

私はよく現場で改善をしている時に皆さんにお話しするのですが、会社の活動において絶対やってはいけないことがあるのです。

それは、 間違ったことをみんなでキチンと実行することです。必ず間違った結果が出ます。当たり前ですよね。そんなバカなことをするわけがない!ですか?そうでもないんです、先ほどの売れない材料を安いからといってたくさん買ってしまうなんていう例はどこにでもあるんですよ。

2番目にやってはいけないことは、
せっかく正しいことを考えているのに、できない理由をいってすぐにやらないことです。世の中の変化のスピードは速いですから、あっという間に置いていかれます。
では何が正しいか?もうお分かりですね。
正しいことを考えてみんなでキチンと実行することです。

ではどうしたら正しいことを考えられるのか?答は勉強です。ただし、この勉強は学校の勉強とはずいぶん違います。学校の勉強はなぜこの勉強をしなければいけないのかについてはあまり議論をできなかったと思います。最初から与えられていましたから。そして実際に学んだこともテストの前に暗記して試験で答を書き終えたら忘れてしまっても大丈夫といったものであったかもしれません。
しかし現場改善は違います。まずなぜしなければいけないかはこれまでにお話したとおり明らかです。そしてただ知識が付いただけでは意味がありません。実行して結果を出すことが必要です。さらにたった1つの正解があるわけではありません。答は何通りもあります。それは自分で考えなければなりません。

このように考えて現場改善を実行すると、すぐに困難に直面します。そうなったら会社の人に聞いたり、図書館に行って調べたり、インターネットで検索したりすることが必要になってきます。問題点が顕在化しているということは何を学ばなければならないかが明確ですからわけの分からない勉強にはなりません。
そしてその結果、多くの勉強を行い、苦労して改善を実行し、成果をほめてもらえることができればその人はものすごく嬉しくなりもっと改善をやりたくなります。このような過程を通じて素晴らしい自信と実力が付くのです。

以上、なぜ改善を実行する必要があるのかについての3つの理由を申し上げました。これ以外にもいろいろな理由があることと思います。

このように多くのメリットが現場改善を通じて得られます。みんなで元気を出してがんばりましょう。